帯状疱疹とは
水ぼうそうのウイルスが起こす病気です。子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルスは、神経の中に残っていることがあります。加齢・ストレス、過労などで免疫力が落ちた際に、神経に潜伏していた水ぼうそうウイルスが何十年ぶりに活動を再開して発症します。神経に沿って帯状に湿疹が現れ、症状が長引くと神経にダメージが蓄積して強い痛みを伴うことがあります。さらに、湿疹が治った後もこの強い痛みが数ヶ月から数年続く帯状疱疹後神経痛を起こすことがあります。この強い痛みは通常の治療ではなかなか緩和できないのですが、発症後1ヶ月以内といった早期にブロック注射など適切な治療を受けることで神経へのダメージを蓄積させないようにすることで効果的に防ぐことができます。
帯状疱疹の症状と治療
急性期
帯状の湿疹が現れる時期です。痛みがない場合もありますが、できるだけ早く受診してください。抗ウイルス薬などの治療を受けることが重要です。痛みがある場合には、将来強い痛みが残る可能性をできるだけ減らすために神経ブロック注射を受けられるクリニックを受診してください。痛みを放置していると帯状疱疹後神経痛を起こす可能性があります。
帯状疱疹後神経痛
ダメージの蓄積によって神経が破壊されているため、正常な働きができずに間違った信号を脳に送ってしまいます。それによって感じるはずのない強い痛みなどが慢性的に生じている状態です。
帯状疱疹とブロック注射
湿疹が現れるため、皮膚疾患と間違われやすいのですが、帯状疱疹はウイルスが皮膚だけでなく神経にもダメージを与える病気です。湿疹はほとんどがいずれ治りますが、神経に受けたダメージが残ることがあり、痛みが長期間続く帯状疱疹後神経痛を起こすことがあります。
神経へのダメージが蓄積したら帯状疱疹後神経痛を起こすリスクが高くなるため、皮膚だけでなく神経をケアできる治療が重要になります。ブロック注射は神経の痛みを緩和させ、血流を回復させる作用を持つため、ダメージの蓄積を抑制するだけでなく、神経と皮膚の症状改善に役立ちます。
帯状疱疹の治療で一般的に行われているのは消毒や塗り薬といった処置、抗ウイルス剤や痛み止めといった薬の処方ですが、それだけではダメージの蓄積を抑えることはできません。こうした一般的な治療でも約90%の方はほぼ問題が解決しますが、約10%の方は数週間経過しても強い痛みが継続してしまいます。帯状疱疹を発症して少しでも痛みがあるようでしたら、ブロック注射を行うペインクリニックを受診しましょう。
ブロック注射について
帯状疱疹は、顔を含めた全身のどこにでも症状が現れる可能性のある病気です。そして、ブロック注射もまた、顔を含めた全身、すべての場所に注射が可能な治療です。
治療対象の神経によって、ブロック注射の種類、注射する場所、薬剤の種類や量などが異なります。疾患が違っていても注射する場所が同じ神経であれば同じ注射が有効です。それぞれ、場所に適した注射方法が存在しているため、状態や場所などを慎重に見極めて適切なものを選択します。
顔 | 星状神経節ブロック 三叉神経ブロック |
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首や上肢 | 星状神経節ブロック 頸部硬膜外ブロック |
胸や背中 | 胸部硬膜外ブロック 肋間神経ブロック |
下肢 | 腰部硬膜外ブロック |
お尻 | 仙骨ブロック |