耳の帯状疱疹は顔面神経に後遺症がのこる?痛みの緩和と症状を悪化させないための神経ブロック注射
50歳をこえると男女ともに帯状疱疹の発症率があがります。
帯状疱疹とは、水痘(みずぼうそう)の原因ウイルスである、水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化することでおこる疾患です。
幼いころであっても一度水痘にかかると、水痘帯状疱疹ウイルスは神経節にひそんで休止状態で長く潜伏します。
将来なんらかの原因でウイルスが再活性化すると、ひそんでいる神経線維を伝って皮膚がただれたり痛みが出現し帯状疱疹と診断されます。
水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化する原因は、多くが免疫力の低下といわれています。
帯状疱疹の症状が現れる場所はウイルスが潜んでいる神経節と一致するため。左右非対称なことがほとんどです。
耳性帯状疱疹とは、第7脳神経(顔面神経)または第8脳神経でウイルスが再活性化するものをいいます。
耳性帯状疱疹では、症状がよくならず神経へのダメージが蓄積されると、顔面神経の麻痺や平衡感覚の不具合など重大な後遺症を引き起こしてしまう可能性があります。
耳性帯状疱疹の症状と適切な治療方法、神経ブロック注射の有効性についてわかりやすく解説していきます。
耳性帯状疱疹の症状と診断方法
耳性帯状疱疹は、水痘帯状疱疹ウイルスが第7脳神経(顔面神経)や第8脳神経で再活性化することで皮膚のただれや痛みがおこる疾患です。
症状のあらわれ方は左右非対称で、ウイルスが存在する方にのみ神経繊維にそって皮膚症状や痛みを感じます。
皮膚症状のほかにも以下の症状をともなう患者さまが多くいらっしゃいます。
- 強い耳の痛み
- 耳の外側(耳介)と外耳道に水疱ができる
- 片方の顔面の麻痺(口角がうまく上がらず食べられない、目が片方閉じられない など)
- めまい、平衡感覚の不具合
- 難聴
- 頭痛
医師は身体の症状や過去の水痘への罹患歴から帯状疱疹の診断をだしますが、水疱が形成されている箇所から培養をとりウイルス検査をすることもあります。
また、神経症状がでている場合には他の疾患を否定するためにMRI検査をおこなうこともあります。
耳性帯状疱疹が長引くと起こること
耳性帯状疱疹の治療は、鎮痛薬や抗炎症剤の内服、皮膚の炎症への塗り薬といった対処療法がメインですが、痛みを確実におさえて炎症を鎮めるには、当院で実施している神経ブロック注射も効果的です。
水痘帯状疱疹ウイルスそのものを退治するために抗ウイルス薬を使用することもあります。
神経節の痛みと顔面神経の症状は、治療によって約数週間でよくなりますが、治療が遅れると重大な後遺症をのこしてしまうこともあります。
ラムゼイハント症候群
耳性帯状疱疹はラムゼイハント症候群とも呼ばれています。
「症候群」といって、水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化を原因に、さまざまな症状があらわれます。
ウイルスそのものの症状として、耳のまわりと内部の疼痛、水ぶくれなどの皮膚症状があります。
また、顔面神経に関する症状として、顔のこわばり、目・口の開閉障害、味覚障害などを訴える方もいらっしゃいます。
聴神経に関する症状として、耳鳴り、めまい、難聴、頭痛などもあらわれます。
自然治癒することもありますが、しっかりと症状を治し重症な後遺症を残さないためには初期の段階から適切に治療をすることが大切です。
つらい痛みが続く帯状疱疹後神経痛(PHN)
帯状疱疹の治療がおくれたり適切な治療がされないと、ウイルスによって神経が傷つき皮膚症状が改善したあとも強い痛みが続き、帯状疱疹後神経痛になってしまうこともあります。
帯状疱疹後神経痛になってしまうと、内服の鎮痛薬ではなかなか改善しません。
傷ついた神経に直接はたらきかける、ブロック注射による治療が効果的です。
中村AJペインクリニックでは、帯状疱疹後神経痛へ移行してしまった患者様の疼痛緩和もおこなっています。
最も望ましいのは帯状疱疹の発症から早い時期からの神経ブロック注射を使用した治療ですが、どのような発症段階でも患者様おひとりおひとりの症状・つらさにあわせて治療計画をご提案するのでまずはご相談ください。
耳性帯状疱疹を悪化させないために
帯状疱疹を悪化させないための注意点と治療について解説します。
医療機関で治療を受ける
帯状疱疹において、皮膚にできるただれは自然に治癒することもあります。
しかし、表面的に皮膚の症状が改善しただけであり、神経節への水痘帯状疱疹ウイルスが消失したとは考えにくいです。
医療機関での正しい診断と治療ができないと、のちに神経障害がのこったり強い痛みが継続することも少なくありません。
内服のみではなく神経ブロック注射も効果的
耳性帯状疱疹を発症すると、内科や耳鼻科では抗ウイルス薬や鎮痛薬の内服治療となることが多いです。
医師の見解により内服治療で十分と判断されることももちろんありますが、痛みの改善や帯状疱疹後神経痛へ移行させないためには、神経ブロック注射も効果が高いとされています。
神経ブロック注射は水痘帯状疱疹ウイルスが潜んでいる神経節へ直接作用し、痛みの改善を目指します。
さらに、神経ブロック注射をすることで患部の血流が回復するため、ダメージの蓄積を抑制するだけでなく神経や皮膚の症状改善に役立ちます。
睡眠・栄養・休息をたっぷりとる
幼いころに罹患した水痘のウイルスが再活性化することで、帯状疱疹を発症します。
ウイルスが再活性化する原因は、免疫力の低下が有力視されています。
帯状疱疹を発症したときは、医療機関の受診と適切な治療はもちろん、睡眠・栄養・休息を十分にとり患部をあたためるようにしましょう。
帯状疱疹の痛みのお悩みは早急に中村AJペインクリニックへ
帯状疱疹の痛みには神経ブロック注射が効果的です。
発症から時間がたてばたつほど、神経へのダメージが蓄積されて痛みの改善がむずかしくなります。
神経障害や強い疼痛を引き起こさないためには、早期の介入がとても重要です。
中村AJペインクリニックは、症例数20万件以上の実績をもつペインクリニック専門医が施術をしております。
顔から足まで全身への神経ブロック注射が可能なので、ぜひお気軽にご相談ください。
記事監修医師プロフィール
中村AJペインクリニック院長
中村 純
アメリカニューヨーク州コロンビア大学 医学部大学院 卒業
米国外科専門医(災害外科・形成再建外科
日本ペインクリニック学会 専門医
日本整形外科学会 専門医
厚生労働省医政局 麻酔科標榜医