帯状疱疹とヘルペスの違いとは?原因や症状の違いを詳しく解説
帯状疱疹とヘルペスは、どちらもプツプツとした小さな水ぶくれが特徴的なため、同じ病気だと思っている人がいるかもしれません。
しかし、帯状疱疹とヘルペスは原因や症状の出現や経過が違い、後遺症の有無といった問題もあるため違いを理解する必要があります。
今回は、帯状疱疹とヘルペスの違いを原因や症状、治療方法の面から詳しく解説します。
それぞれ予防や治療方法の違いがあるため、本記事を参考にして気になる症状が見られたらすぐに適切な治療を受けましょう。
特に帯状疱疹は治療が遅れたり重症化すると、激しい痛みに悩まされる「帯状疱疹後神経痛」を発症するおそれがありますので、発疹とともに痛みを感じた場合は中村AJペインクリニックにご相談ください。
帯状疱疹とは
帯状疱疹は、体の片側に小丘疹が広範囲に出現するという特徴があります。
神経節に沿って発症するため、眠れないほどの激しい神経痛を伴うことも少なくありません。
ここでは帯状疱疹の原因と症状と治療法について詳しく見ていきましょう。
帯状疱疹の原因
帯状疱疹の原因は「水痘帯状疱疹ウイルス」で、初めてウイルスに感染した時には「水ぼうそう」を発症します。
水ぼうそうが治った後もウイルスは消滅せず、体内の神経節に潜伏しています。
過労やストレス、病後など免疫が低下することをきっかけとして再びウイルスが活動することにより、皮膚と神経に炎症を引き起こし発症します。
水ぼうそうにかかった事がある人は誰でも発症する可能性がありますが、加齢による免疫機能の低下から50代以上の発症が多く、80才以上になると3人に1人に発症の可能性がある*と言われています。
*参考:帯状疱疹予防.jp(https://taijouhoushin-yobou.jp/top2.html)
帯状疱疹の症状
帯状疱疹は、まず体の左右どちらかの神経に沿って皮膚に痛みや違和感やかゆみが出現します。
ピリピリ感や焼けるような独特の痛みがありますが、痛みの強さには個人差があり発熱を伴うこともあります。
痛みや違和感を感じた数日後に小さな発疹が数個発現し、時間の経過とともに水ぶくれとなり帯状の広範囲に数が増えることから「帯状疱疹」と呼ばれています。
胸や背中などの上半身に発症する事が多いですが、顔や目の周りなど神経が通っている部位であれば身体中どこでも発症する可能性があります。
帯状疱疹の治療方法
帯状疱疹の治療には、抗ウイルス薬によるウイルス増加抑制と、鎮痛剤による投薬治療がメインとなります。
軽度から中等度では抗ウイルス内服薬を使用し、重症や免疫機能が著しく低下している場合には入院による点滴治療が行われます。
さらに、帯状疱疹は強い痛みを伴うケースが多いため、ペインクリニックで受けられる神経ブロック注射による鎮痛治療が効果的です。
また、軽症の場合の抗ウイルス外用薬の使用や、水ぶくれがつぶれて傷になった場合の抗菌薬など外用薬による治療を併用することもあります。
ヘルペスとは
ヘルペスの多くは「口唇ヘルペス」や「性器ヘルペス」など決まった部位に発症する事が多い皮膚の病気です。
帯状疱疹は他人から感染する事がありませんが、ヘルペスは唾液や体液や接触によって感染するという特徴があります。
チクチクやピリピリした軽い痛みの後に水ぶくれが数個できることが多く、子供から大人まで全世代に発症リスクがありますが、治った後は後遺症のリスクはほとんどありません。
ヘルペスの原因
ヘルペスの原因は「単純ヘルペスウイルス」で、口唇ヘルペスはHSV-1、性器(下半身)ヘルペスはHSV-2という型の違いがあります。
単純ヘルペスウイルスはごくありふれており、成人の約半数が子供の頃に感染していると言われていますが、感染しても無症状のことが多いためいつ感染したのか特定することは難しいでしょう。
帯状疱疹と同様に、感染するとウイルスが神経節に潜伏し、免疫機能の低下により再活性化し発症しますが、ウイルスを排除する方法はありません。
免疫機能の低下の原因は、ストレスや過労に加え発熱や生理前後といったことが挙げられるため、再発を繰り返す可能性があります。
ヘルペスの症状
唇や口周り、性器や肛門周囲など比較的限られた範囲に、かゆみやピリピリチクチクした神経痛が出現した後、水ぶくれを伴った小さな発疹が数個出現します。
赤く腫れることも多いですが、3から5日程度でかさぶたになって治ることがほとんどです。
ヘルペスは他の部位や他の人に感染するため、水ぶくれができている時期は直接触らずつぶさないように注意し、こまめな手洗いやタオルの共用や性交渉を控えることが大切です。
ヘルペスの治療方法
単純ヘルペスウイルスに対する抗ウイルス薬の使用でほとんどの場合は後遺症なく治癒するため、外用薬の使用や内服薬もしくは点滴など症状の重症度により投薬方法が変わります。
ヘルペスの外用薬には市販薬がありますが、再発時の使用に限られています。初めて発症した時は医師の診察による治療を受けましょう。
また、ヘルペスには事前に飲み薬を備えて置ける「PIT(patient initiated therapy)」という予防処方が可能なケースがあるため、再発を繰り返す人はかかりつけの医療機関で主治医に相談することをおすすめします。
帯状疱疹は早期治療が重要!
帯状疱疹とヘルペスは症状が似ていますが、原因ウイルスが違うため症状や経過に違いがあります。
ヘルペスはきちんと対処すればほとんどの場合は後遺症なく治すことができますが、帯状疱疹では治療時期が遅れたり発症部位によっては重症化する可能性があるためなるべく早い段階で治療することが重要です。
さらに、帯状疱疹の場合は激しい痛みや帯状疱疹後神経痛という後遺症のおそれがあるため、痛みに対する治療としてはブロック注射がおすすめです。
中村AJペインクリニックでは、豊富な経験を持つ院長が痛みからの解放を目指し、ひとりひとりに合わせた適切な治療を行なっております。
帯状疱疹の痛みや後遺症にお悩みの方は是非ご相談ください。
記事監修医師プロフィール
中村AJペインクリニック院長
中村 純
アメリカニューヨーク州コロンビア大学 医学部大学院 卒業
米国外科専門医(災害外科・形成再建外科
日本ペインクリニック学会 専門医
日本整形外科学会 専門医
厚生労働省医政局 麻酔科標榜医