帯状疱疹の原因『水痘帯状疱疹ウイルス』とは?帯状疱疹のメカニズムと治療方法を解説
帯状疱疹とは、水ぼうそうの原因ウイルスにより引き起こされる病気で、水ぼうそうにかかったことがある人は年齢や性別関係なく誰でもかかるおそれがあります。
帯状疱疹は皮膚疾患のひとつで「たいしたことない」と軽く考えて放置していると、重症化し眠れないほどの痛みを伴うことや、運動障害などの合併症や帯状疱疹後神経痛といった後遺症を引き起こす可能性があるため発症したらすぐに適切な対処が必要です。
今回は、帯状疱疹の原因ウイルスについて、特徴や感染後の経過やメカニズムについてくわしく解説します。
さらに、帯状疱疹の痛みを和らげる中村AJペインクリニックのブロック注射による治療についても紹介しますので、帯状疱疹の発症が心配な人や痛みに不安や悩みがある人はぜひ参考にしてください。
帯状疱疹の原因「水痘帯状疱疹ウイルス」とは
日本人の帯状疱疹発症率は80歳までの間で30%と言われており、幼少期にかかった水ぼうそうのウイルスが原因であることがわかっています。
水ぼうそうは子供が罹る病気のひとつとして有名ですが、成人後に帯状疱疹の原因となるのはなぜなのでしょうか。
ここでは、帯状疱疹の原因である水痘帯状疱疹ウイルスの特徴と、帯状疱疹発症のメカニズムや症状についてくわしく解説します。
水痘帯状疱疹ウイルスの特徴
帯状疱疹の原因は「水痘帯状疱疹ウイルス(VZV=varicella zoster virus)」であり、ヘルペスウイルス科に分類されます。
伝染力は強く、水ぼうそうの家庭内接触による発症率は90%と言われており、発症前後1週間程度伝染力があることがわかっています。
水ぼうそうを発症すると、治癒後に免疫が獲得されるためその後一生涯水ぼうそうにかかることはない「終生免疫の獲得」ができることがわかっています。
さらに、帯状疱疹は水ぼうそう罹患経験がある人にしか発症しないため、水ぼうそう
にかかったことがない人が水痘帯状疱疹ウイルスに感染しても、水ぼうそうを発症する可能性はありますが帯状疱疹を発症することはありません。
水痘帯状疱疹ウイルスは、水ぼうそうの予防には感染源の人との接触を避けることと、「水痘帯状疱疹生ワクチン」の接種が有効であり、帯状疱疹の予防には「水痘帯状疱疹生ワクチン」と「帯状疱疹ワクチン」の2種類の接種が有効であると言われています。
帯状疱疹発症のメカニズム
水痘帯状疱疹ウイルスは、水ぼうそうが治った後に皮膚にのびている知覚神経を伝い、背骨に付随している脊髄後根神経節という神経根にたどり着きます。
神経根にたどり着いたウイルスは、普段は活動することなく体に支障をきたさない潜伏状態を保っており、水痘帯状疱疹ウイルスが体内から排除されることはないと考えられています。
しかし、加齢や疲労やストレスなどにより体内の免疫のひとつである、「メモリーT細胞」という水ぼうそうを記憶しているリンパ球が免疫機能が低下すると、潜伏していた水痘帯状疱疹ウイルスが再び活動を始め、神経を壊しながら増殖して帯状疱疹を発症させます。
そのため帯状疱疹の発症時期には個人差があり、ウイルス感染から帯状疱疹発症までの期間は一定ではないことがわかっていますが、発症要因に加齢があげられているため50歳以上でのワクチン接種が推奨されています。
帯状疱疹の症状
帯状疱疹は免疫機能の低下により、背骨付近の神経に潜んでいた水痘帯状疱疹ウイルスが活動を再開することで発症し、神経の走行に沿って傷付けながら皮膚に向かっていきます。
そのため、多くの場合は体や顔などの左右どちらか一方にピリピリやチクチクとした神経痛が生じ、数日後に小さな赤い発疹の皮膚症状が現れることが多いです。
症状が進行すると、発疹が小豆大の水ぶくれとなり、痛みが出ている部位に帯状になって広がり強い赤みを伴いやがて水ぶくれは自然に破れ、かさぶたになって治っていきます。
痛みの感じ方には個人差が大きく、全く痛みを感じないケースや夜眠れないくらいの痛みに日常生活が送れないというケースもありますが、症状の進行とともに痛みが悪化しやすいため気づいた時点でなるべく早く医療機関を受診することが大切です。
帯状疱疹の治療とは
帯状疱疹の原因は免疫低下による水痘帯状疱疹ウイルスの活動再開のため、治療や症状の改善には抗ウイルス治療と免疫力の回復が重要です。
さらに、帯状疱疹は水ぼうそうと違い一度発症すると2度とかからないわけではなく、再発率が約6%で繰り返すことがわかっています。
そのため帯状疱疹は治療とともに予防も重要になりますので、ここでくわしく見ていきましょう。
帯状疱疹の投薬治療
帯状疱疹は、抗ウイルス薬と必要に応じ鎮痛薬の投与と、外用薬による治療が主になり、重症度により入院による全身管理が必要なケースもあります。
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症状が軽度〜中等度の場合(日常生活が送れるレベル)
抗ウイルス薬と、痛みに応じ非ステロイド系鎮痛剤の内服と抗ウイルス外用薬や抗炎症外用薬の処方
帯状疱疹による痛みがある場合は神経ブロックによる症状緩和が重要 -
症状が重症の場合(日常生活に著しい支障があるレベル)
入院による全身管理のもと、抗ウイルス薬の点滴治療と鎮痛薬治療
帯状疱疹後神経痛予防のためにも神経ブロックが望ましい
水痘帯状疱疹ウイルスは一般の抗生物質では効果がないため、専用の抗ウイルス薬の投与が必要で、神経のダメージによるつらい痛み症状には、神経ブロック注射による疼痛緩和と神経のケアが効果的であるため、早い段階でのブロック注射を検討することをおすすめします。
また、発疹に対しても抗生物質や副腎皮質ステロイドなどの軟膏では効果がなく、悪化させる可能性があるため自己判断での使用はおすすめできませんので、必ず医療機関を受診し適切な治療を受けましょう。
帯状疱疹の予防治療
帯状疱疹の発症を予防するためには、水痘帯状疱疹ウイルスへの抵抗力を高めることが重要で、水ぼうそうの治癒後に獲得した免疫が弱まったり体の免疫力が低下した状態では注意が必要です。
50歳以上になると帯状疱疹の発症リスクが上がることから、帯状疱疹の予防接種で免疫の強化を図ることは帯状疱疹予防の選択肢として重要になります。
予防接種には、「弱毒水痘生ワクチン」と「シングリックス」の2種類があり、接種回数や費用の違いとともに予防効果や副反応にも違いがみられますので、以下を参考に医療機関でしっかり相談することをおすすめします。
弱毒水痘生ワクチン
- 生ワクチンで1回接種
- 副反応が少ない
- 妊娠女性や免疫抑制剤使用中の人は接種不可
- 接種費用がシングリックスより安い(自治体により助成あり)
シングリックス
- 不活化ワクチンで2ヶ月間隔で2回接種
- 副反応の出現が多い(筋肉痛や腫れ、倦怠感など)
- 予防効果が高く、効果の持続期間が長い
- 接種費用が高額(自治体により助成あり)
まとめ
帯状疱疹は、幼少期に水ぼうそうにかかったことがある人では誰でも発症する可能性があり、加齢や疲労やストレスの蓄積で免疫力が低下した時に発症リスクが上がることがわかっています。
そのため、発症リスクがある場合は日々の生活の中で帯状疱疹のサインであるピリピリやチクチクした神経痛やその後体の片側に現れる発疹を見逃さず、すぐに医療機関を受診し適切な治療を受けるようにしましょう。
帯状疱疹の痛みを感じた場合は、重症科を防ぐためにもなるべく早くペインクリニックに相談し、ブロック注射で症状を和らげることが大切です。
中村AJペインクリニックはブロック注射の症例が20万件以上と圧倒的な実績があり、ひとりひとりの痛みに寄り添い適切な施術で痛みを取り除くよう治療しています。
長年培った経験と技術と知識をもとに、負担を軽減できるよう慎重に施術していますのでどうぞお気軽にご相談ください。
記事監修医師プロフィール
中村AJペインクリニック院長
中村 純
アメリカニューヨーク州コロンビア大学 医学部大学院 卒業
米国外科専門医(災害外科・形成再建外科
日本ペインクリニック学会 専門医
日本整形外科学会 専門医
厚生労働省医政局 麻酔科標榜医