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コラム

2023.09.29

腰椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法とは?治療しながらできるセルフケアを解説

腰椎椎間板ヘルニアは、20代から40代で発症することが多く、腰の痛みや足にかけてのしびれを主な症状とする病気です。

腰や臀部の痛みとともに足のしびれが現れることがあり、症状によっては日常生活が困難になることもあるため早期の治療が必要です。

腰椎椎間板ヘルニアは、痛みを軽減するための保存療法の中でもブロック注射による治療で痛みや炎症を抑える効果や再発防止効果が期待できますので、痛みがある場合は我慢せずにペインクリニックに相談することをおすすめします。

今回は、腰椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげるためのセルフケアや再発予防について紹介しますので、治療とともに日常生活の中でできる自分に合った方法を実践しましょう。

中村AJペインクリニックでは、整形外科とペインクリニックの両領域でひとりひとりに合わせた最適な腰椎椎間板ヘルニアの治療を行なっていますので、腰の痛みを感じたらお気軽にご相談ください。

腰椎椎間板ヘルニアとは

腰椎椎間板ヘルニアとは、背骨の腰部分に加わる衝撃を緩和するためのクッションとしてはたらく「椎間板」という組織が何らかの原因で外に飛び出てしまった状態を指します。

外に飛び出した椎間板が神経を圧迫し強い痛みやしびれが現れることが多く、若年層の「坐骨神経痛」の原因になりやすいため注意が必要です。

ここでは腰椎椎間板ヘルニアの原因や症状と治療方法について詳しく解説しますので、腰椎椎間板ヘルニアについて理解を深めましょう。

腰椎椎間板ヘルニアの原因

腰椎椎間板ヘルニアは20代から40代に多く発症する傾向がありますが、主な原因として以下が挙げられます。

  • 加齢
  • 姿勢
  • 重いものを持つ動作の反復
  • スポーツによる激しい体動
  • 肥満や喫煙

椎間板は中央にある「髄核」と呼ばれるゼリー状の柔らかい組織と、「繊維輪」という丈夫な外層で構成されていますが、加齢により椎間板の水分量が減少することで変性が起こることが椎間板ヘルニアの原因のひとつとなります。

また、椎間板に強い圧力がかかることで髄核が外に突出することも大きな原因となり、長時間の前かがみや中腰や座ったままの姿勢、重いものを持つ動作、種類にかかわらずスポーツによる激しい動きがきっかけになり発症する可能性があります。

さらに、肥満の状態は腰に負担がかかりやすいことと、喫煙により血流が悪くなることも椎間板ヘルニアの原因になることがわかっています。

そのため椎間板ヘルニアになりやすいタイプとして、以下に当てはまる方は注意が必要です。

  • パイロットやドライバー
  • 重労働従事者
  • スポーツ選手
  • 喫煙者
  • 肥満傾向

参考:日本整形外科学会「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン」(https://ssl.jssr.gr.jp/assets/file/member/topics/cervical_spine_200915.pdf

腰椎椎間板ヘルニアの症状

腰椎は5つの椎骨で構成されているため、どの箇所にヘルニアが発症したかによって症状が変わりますが、主な症状として以下が現れます。

  • 坐骨神経痛
  • しびれ
  • 腰痛
  • 足首の可動制限
  • 特定の足の指に力が入らない
  • 足の筋力低下

腰椎椎間板ヘルニアの中で最も多いのが第4第5腰椎の間に発症するヘルニアで、上記以外にお尻から太ももの横にかけてと、膝下、すねの外側に痛みや痺れが起こりやすいという特徴があります。

また、腰椎椎間板ヘルニアの症状として排尿や排便障害が出ることがありますが、この場合は緊急処置が必要になるケースも多いためすぐに医療機関を受診しましょう。

腰椎椎間板ヘルニアの主な治療方法

腰椎椎間板ヘルニアでは、潰れた部分が吸収されて自然に治る場合も多いため、痛みがなければ基本的に治療の必要はないのですが、痛みやしびれが現れている場合は程度に合わせた以下のような治療が必要です。

  • 注射療法(ブロック注射)
  • 薬物療法(痛み止め)
  • 理学療法(医師や理学療法士の指導のもと行う運動やストレッチ)

これらの治療は「保存療法」と呼ばれ、一般的な治療ではまず安静やサポーターによる固定を行い、痛みに対して消炎鎮痛剤の内服薬や湿布などの外用薬を使用します。

また、ブロック注射では圧迫されている神経の周囲に直接薬を注入できるため、痛みの軽減とともに神経の興奮を鎮める効果から、繰り返す痛みを抑制することも期待できます。

ブロック注射は発症箇所や痛みの程度をしっかり把握する必要がありますが、中村AJペインクリニックは200,000件以上の豊富な実績で確かな技術のブロック注射を行なっていますので、痛みを感じたらはぜひ早めにご相談ください。 

腰椎椎間板ヘルニアでは、保存療法でどうしても痛みが取れない場合や排尿排便障害がある場合などに手術療法が行われることもあります。

突出した椎間板を切り取る手術や、椎骨を金属で固定する手術などがありますが、体への負担があるため手術の選択は主治医とよく相談することが大切です。

腰椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげるセルフケアとは

椎間板ヘルニアで痛みが生じている場合は、まず痛みを軽減することが重要です。

そのためには、症状に合った適切な治療を早い段階で始めることが重要ですが、治療とともに自宅でできるセルフケアで痛みを和らげるために対策することも大切ですのでできることから積極的に始めましょう。

ただし、セルフケアで痛みが増強したり違和感を感じた場合はすぐにやめ、痛みが続く場合は医療機関に相談しましょう。

負担の少ない姿勢をつくる

腰椎は立位でも座位でも上半身の重みを支えているため、常に負担がかかりダメージが蓄積しやすいという特徴があります。

そのため、長時間の体に合わない机や椅子での作業や良くない姿勢での運転は椎間板ヘルニアを引き起こす要因となるため、改善することをおすすめします。

  • デスクワークや運転を1時間以上継続したら休憩し、体を伸ばしたり水分を摂る習慣をつける
  • 体格に合った椅子を選び、まっすぐ座れるようにクッションなどでサポートする
  • 荷物や重いものを持ち上げる際は、いったんしゃがんで膝を曲げた状態から持ち上げる習慣をつける

インナーマッスルを鍛える

腰椎にかかる負担を軽減して痛みを抑えるためには、腹筋と背筋の深部に位置する「インナーマッスル」を鍛えて腰をサポートすることが大切です。

特に鍛えたい筋肉に「腹横筋」と「多裂筋」がありますので、それぞれを鍛える方法を紹介します。

腹横筋

横になり膝を90度に曲げ、両手をおへその下あたりに添えてお腹をしっかり膨らませて鼻から息を吸い、10秒かけて口から息をゆっくり吐く呼吸を1日3分程度継続する。

多裂筋

四つん這いになり肩の真下に手がくる姿勢で、片足をゆっくり床から離してまっすぐ伸ばしてから反対側の手を床から離してまっすぐ伸ばした状態を10秒キープする。
腰に負担をかけないよう、腰が反らないように鏡で姿勢を確認しながら行いましょう。

ただし、どちらの運動も腰の痛みがあるときに行うと痛みを悪化させる可能性がありますので、痛みがあるときは無理せずに安静にすることが大切です。

食生活や嗜好品の見直し

腰椎椎間板ヘルニアになりやすい要因として、肥満と喫煙が挙げられますので、予防や再発防止のためにもダイエットと禁煙を始めましょう。

山形大学医学部の研究によると、「BMI25以上の体重過多及び肥満者に対しては、10%以上のBMI減少が腰痛減少のための目安とされることが示唆される結果となった」とあるため、食事管理や運動でBMIを10%減らすよう努めることが重要だとわかります。

  • BMI=体重kg÷(身長m)2

また、日本整形外科学会の腰痛診療ガイドラインによると、「喫煙は腰痛の有訴率が中東殿関連性を示し、若年者に強い傾向がある」とされているため、20代などの若年層は特に禁煙することが大切です。

参考:山形大学医学部「2022年研究成果」(https://www2.id.yamagata-u.ac.jp/information/bmi45610.html

まとめ

腰椎椎間板ヘルニアは、保存療法で50〜80%が改善すると言われている病気のため、痛みが出たらすぐに適切な治療を受けることが大切です。

治療の中でも、ブロック注射は痛みや炎症の抑制効果が高く、神経の興奮を鎮めて痛みを繰り返すことを防ぐ効果が期待できます。

辛い痛みを我慢せず、まずはブロック注射で痛みを取り除き、痛みが落ち着いた状態で運動療法や日常でのセルフケアで再発を予防しましょう。

中村AJペインクリニックでは、整形外科とペインクリニック療法の治療が可能なため、症状に合わせた適切な治療と再発予防のための運動指導を行なっています。

腰の痛みや足のしびれに悩んでいる方は、ぜひお気軽にご相談ください。

記事監修医師プロフィール

中村AJペインクリニック院長

中村 純

アメリカニューヨーク州コロンビア大学 医学部大学院 卒業
米国外科専門医(災害外科・形成再建外科
日本ペインクリニック学会 専門医
日本整形外科学会 専門医
厚生労働省医政局 麻酔科標榜医